自動パッチ管理は、専用ソフトウェアツールを使ってソフトウェアやファームウェアの更新を自動的に特定、ダウンロード、テスト、配信し、セキュリティ侵害の防止に役立ちます。
自動パッチ適用は、最新のセキュリティ強化やパフォーマンス向上を展開し、バグを修正し、その他のアップグレードを実施してソフトウェアを常に最新の状態に保つことで、IT・セキュリティ担当者の時間を節約できます。自動パッチ管理は、毎月発見される数百件もの脆弱性の中で重要なパッチが遅延したり見落とされたりする可能性がある手動パッチ管理よりも、先手を打ったアプローチです。
この記事では、自動パッチ管理の定義と仕組み、そのメリットとデメリットを説明し、2023年時点のベストプラクティスと主要な自動パッチ管理ツールを紹介します。
自動パッチ管理の仕組み
パッチ管理は、サイバーセキュリティにおける最も重要な要素の1つです。ソフトウェア更新は、システムの完全性とセキュリティを維持するうえで不可欠です。効果的なパッチ管理には、ソフトウェアとファームウェアに更新を配布・適用する一貫性のある反復可能なプロセスが必要です。
セキュリティや機能の問題に対して手動または場当たり的に対処する方法は、時間と手間がかかるうえ、重大な脆弱性を放置することになりかねません。そこで、自動パッチ管理の出番です。自動パッチ管理は、パッチが必要なものを特定し、そのパッチを適用します。仕組みは次のとおりです。
ネットワークのスキャンとインベントリ:自動パッチ管理の初期段階では、ネットワーク上のすべてのデバイスと、各デバイスにインストールされたソフトウェアプログラムを見つけて一覧化します。通常、検出ツールがネットワークをスキャンし、すべてのデバイスとソフトウェアプログラムの一覧を生成することで、このプロセスを開始します。脆弱性スキャナーは既知のセキュリティ上の欠陥を探し、デバイスと脆弱性ごとにリスク評価を提供するものもあります。
評価:インベントリの作成が完了すると、パッチ管理ツールは、リスク評価に基づいて、最初にパッチを適用すべきデバイスとソフトウェアの優先順位を設定します。
テストとパッチの展開:展開前にパッチをテストし、システム上の他のソフトウェアとの互換性を確認できます。デバイスとアプリの優先順位を設定した後、パッチ管理プログラムは各デバイスまたはプログラムに適切なパッチを自動的に配布します。
レポートの生成:パッチを配布した後、パッチ管理ツールはレポートとアラートを作成し、パッチの適用に成功したデバイス、パッチがまだ必要なデバイス、パッチ適用中に発生した可能性のある問題を管理者に知らせます。
監視:ツールがレポートを生成すると、すべてのデバイスで最新のパッチとアップグレードが実行されていることを保証するため、ネットワークを監視します。パッチによって予期しない問題が発生した場合に備え、ロールバック機能を備えているツールもあります。解決できない問題には、仮想パッチ適用と呼ばれる手動制御が必要になることもあります。
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自動パッチ適用のメリットとデメリット
あらゆるテクノロジーと同様、自動パッチ適用にもメリットとデメリットがありますが、通常はメリットのほうが上回ります。
パッチ適用プロセス全体を自動化すると、時間と労力を節約でき、手動では決して実現できないレベルまでセキュリティを向上できます。多数のデバイスを扱う企業では特に有効です。各デバイスに手動でパッチを適用すると時間がかかり、多くの人員とリソースが必要になるためです。しかし、業務に追われる中小企業もこの方法の恩恵を受けられます。ネットワーク上のすべてのデバイスを最新のセキュリティパッチとアップグレードで最新状態に保つことで、自動パッチ適用はセキュリティ侵害のリスクを低減できます。
一方、自動パッチ適用のデメリットの1つは、多数のデバイス、オペレーティングシステム、アプリケーションを抱える大規模システムでは、修正がすべてのネットワークデバイスに適切に適用されたことを確認するのが難しい点です。また、多くの大規模組織はパッチを適用する前にテストすることを好むため、自動パッチ適用では問題が発生するまで互換性の問題に気づかない可能性があります。幸い、多くの自動パッチソリューションは展開前のパッチテストに対応しています。
一般に、データ侵害による損失を考えれば、安全性を優先して判断するのはめったに悪い選択ではありません。
パッチ管理を自動化する方法
専用のソフトウェアプログラムを使えば、パッチ管理プロセス全体を自動化し、セキュリティチームにプロセス全体を俯瞰する視点を提供できます。自動パッチ管理プロセスを設定する手順は次のとおりです。
- インストール:パッチ管理を自動化する最初のステップは、ソフトウェアパッチと更新の特定、分析、優先順位付け、展開を自動化するために特別に設計されたパッチ管理ソフトウェアソリューションをインストールすることです。市場にはさまざまなパッチ管理ツールがあり、それぞれ機能や性能が多少異なります。これらについては後ほど説明します。WindowsやmacOSなど一部のオペレーティングシステムは自動更新に設定できますが、それだけではデバイス上のすべてのファームウェアとアプリケーションをカバーできません。
- 設定:パッチ管理プログラムをインストールしたら、組織固有のネットワーク構成で動作するよう設定します。通常は、デバイスとソフトウェアアプリケーションを探すためにネットワークをスキャンするようツールを設定し、最初にパッチを適用すべきデバイスとアプリの優先順位を設定し、パッチと更新を自動的に配布するようツールを設定します。
- スキャンと展開のスケジュール設定:パッチ管理ツールの設定後は、定期的なスキャンをスケジュールし、新たな脆弱性を見つけ、影響を受けるデバイスとアプリに修正と更新を配布します。パッチ管理ツールは、事前に定義したスケジュールに従って自動的にスキャンとパッチ配信を行うよう設定することも、管理者が手動で実行することもできます。クラウドサービスは通常、脆弱性に常に対応するため継続的にパッチを適用します。これが、最高水準のセキュリティに必要なことです。
- 監視とレポート:パッチ管理ソリューションが稼働したら、その活動を監視してレポートすることが重要です。これには、パッチの追跡、デバイスとアプリケーションのステータス更新、パッチ管理活動のレポート作成、業界標準や法規制への準拠状況の追跡が含まれます。
自動パッチ管理のベストプラクティス
自動パッチ管理を最大限に活用するには、次のベストプラクティスに従う必要があります。
- パッチ管理ポリシーを作成し、ネットワーク全体で修正を検出、テスト、配信する手順を定める。
- ソフトウェアのバージョンを統一し、ソフトウェア要件または部門に応じてデバイスを分類する。
- 定期的にネットワークをスキャンし、修正が必要なデバイスとソフトウェアを探す。
- 戦略が有効かどうかを確認するテストを実施する。修正を展開する前に、システム上の他のソフトウェアとの互換性の問題や競合がないことを確認する。
- ユーザーへの影響を最小限に抑えるため、業務時間外にパッチを適用する。
- ネットワークに適用したすべてのパッチ、パッチを適用したすべてのデバイス、適用方法を綿密に記録する。
- ツールが正常に機能していることを確認するため、レポートを監視する。
無料のパッチ管理ポリシーテンプレートをご覧ください
自動パッチ管理ツールのトップ5
これらのツールは、自動パッチ管理の主要な選択肢として広く評価されており、当社スタッフが評価を行いました。自動パッチ管理ツールを選ぶ際には、ネットワークの規模と複雑さ、使用するデバイスとソフトウェアの種類、組織の予算とリソースなどを考慮する必要があります。主要な自動パッチ管理ツールをいくつか紹介します。
Ivanti Patch Management
Ivanti Patch Managementは、エージェントベースのスキャン方式を使用して、ネットワーク上のすべてのデバイスとソフトウェアアプリケーションを検出・一覧化します。その後、各デバイスとアプリケーションに関連する脆弱性とリスクを評価し、リスク評価に基づいて、最初にパッチを適用すべきデバイスとアプリケーションの優先順位を設定します。その後、設定したスケジュールに従うか、管理者が手動で実行して、パッチと更新を自動的に展開します。
Ivanti Patch Managementは、パッチの適用に成功したデバイス、パッチがまだ必要なデバイス、パッチ適用中に発生した可能性のある問題を管理者に知らせるレポートとアラートを生成します。また、すべてのデバイスが最新のパッチと更新を適用した状態を維持していることを確認するため、ネットワークも監視します。
メリット
- Ivanti Patch Managementは、検出とインベントリ作成、評価と優先順位付け、パッチ展開、レポート作成と監視など、パッチ管理プロセスを自動化する機能を備えた包括的なパッチ管理システムです。
- Ivanti Patch Managementはエージェントベースのスキャンを採用しており、ネットワーク上の各デバイスとアプリケーションについて、より正確で完全な情報を提供します。
- より包括的なセキュリティ・管理ソリューションを実現するため、Ivanti Patch ManagementはIvanti Endpoint ManagerやIvanti Security Controlsなど、他のIvanti製品と接続できます。
デメリット
- 複雑さ:Ivanti Patch Managementは、特に大規模で複雑なネットワークでは、セットアップと設定が難しい場合があります。適切な導入と管理には、ハードウェア、ソフトウェア、人員など、相当数のリソースが必要です。
- コスト:Ivanti Patch Managementはプレミアムツールであり、小規模・中規模企業にとっては高額になる可能性があります。
価格
- 価格はデバイス1台あたり年間18.75ドルからで、大企業向けには一括購入割引があります。管理対象デバイス数と必要なサポートレベルに応じた柔軟な料金プランを利用できます。
Microsoft Configuration Manager
Microsoft Configuration Managerは、以前はSystem Center Configuration Manager(SCCM)と呼ばれ、現在はMicrosoft Intuneブランドの一部となっている包括的なシステム管理ツールです。Windowsデバイスへのパッチ適用に加え、ソフトウェアインベントリや構成設定の管理にも対応しています。Microsoftのツールとサービスを利用する企業では、Configuration Managerが一般的な選択肢です。
Configuration Managerは、クライアントベースまたはエージェントベースのスキャン方式を使用して、ネットワーク上のすべてのデバイスとソフトウェアアプリケーションを検出・一覧化します。定義したスケジュールに従うか、管理者が実行したときに、パッチと更新をデバイスへ自動または手動で送信します。レポートを作成し、パッチの適用に成功したデバイス、未適用のデバイス、パッチ適用中に発生した可能性のある問題を管理者に通知します。また、すべてのデバイスが最新のパッチと更新を適用した状態を維持していることを確認するため、ネットワークも監視します。
メリット
- Configuration Managerは、Azure Active Directoryなどの他のMicrosoft製品と適切に統合でき、より包括的なシステム管理ソリューションを実現します。
- Windows、macOS、Linuxシステムに加え、サードパーティアプリケーションへのパッチ適用にも対応しています。
- Configuration Managerは適応性と汎用性に優れ、各企業のニーズに対応できる幅広い設定項目を備えています。
- Configuration Managerは、パッチ管理、ソフトウェア展開、コンプライアンス管理、資産管理など、さまざまな機能を提供します。
デメリット
- 複雑さ:Configuration Managerは、特に大規模で複雑なネットワークでは、セットアップと設定が難しい場合があります。適切な導入と管理には、ハードウェア、ソフトウェア、人員など、相当数のリソースも必要です。
- コスト:Configuration Managerはプレミアムツールであり、小規模・中規模企業にとっては高額になる可能性があります。
価格
- Configuration Managerはデバイスまたはユーザー単位の料金で、大規模導入向けには一括購入割引があります。価格はユーザー1人あたり月額22ドル、またはデバイス1台あたり年間86ドルからです。
Heimdal
Heimdalは、企業がシステムを最新かつ安全な状態に保つためのパッチ管理アプリケーションです。Heimdalの主な機能には、オペレーティングシステム、ソフトウェアプログラム、サードパーティアプリケーションのパッチと更新の自動確認・インストールがあります。また、脆弱性スキャンを実行して潜在的なセキュリティ問題を特定し、修復に向けた提案を行います。バージョン情報やパッチの適用状況を含む、インストール済みソフトウェアの詳細なインベントリも提供します。さらに、セキュリティイベントの検出と対応を支援するエンドポイント検出・対応(EDR)機能も備えています。
メリット
- Heimdalは直感的で使いやすいインターフェースを備えており、管理者はパッチ管理と展開を簡単に行えます。
- HeimdalはWindows、macOS、Linuxで利用できます。
- Heimdalはパッチ管理を自動化し、管理者の負担を軽減するとともに、システムのセキュリティを強化します。
- EDR機能:HeimdalはEDR機能を提供し、企業がセキュリティ問題をより迅速に発見して対応できるようにします。
デメリット
- Heimdalのレポート機能は限られているため、企業がパッチ管理や脆弱性修復の取り組みを追跡するのが難しくなる可能性があります。
- Heimdalのパッチ管理オプションは事前設定されており、大幅なカスタマイズには対応していません。
- Heimdalのパッチ管理機能は、少数のサードパーティアプリケーションに限定されています。
- 脆弱性スキャンとEDRの各モジュールは、パッチ管理モジュールとは別料金です。
価格
- Heimdalはデバイス単位のライセンスで、パッチ管理モジュールはデバイス1台あたり年間36ドルからです。
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SolarWinds Patch Manager
SolarWinds Patch Managerは、管理者がネットワーク接続されたシステム全体で修正を承認・適用できる自動パッチ管理ツールです。Microsoft Configuration Managerや他のSolarWindsツールとの統合に優れ、ネットワーク全体を管理できます。Adobe、Java、Chromeなどのサードパーティアプリに加え、Microsoft製品にもパッチを適用できます。SolarWinds Patch Managerは、ネットワーク接続されたコンピューターにインストールされているすべてのソフトウェアとハードウェアのインベントリを保持します。その後、パッチの適用状況、コンプライアンス、脆弱性データに関する詳細なレポートを生成します。
メリット
- SolarWinds Patch Managerは、直感的で使いやすいインターフェースを備えており、管理者はパッチ管理と展開を簡単に行えます。
- さまざまなサードパーティアプリにパッチを適用できるため、管理者の負担を軽減します。
- パッチの適用状況、コンプライアンス、脆弱性データに関する詳細なレポートを生成します。
- Server & Application MonitorやNetwork Performance Monitorなど、他のSolarWinds製品との統合にも優れており、包括的なIT管理ソリューションを実現します。
デメリット
- 互換性:SolarWinds Patch Managerは、Windowsベースのオペレーティングシステムのみをサポートしています。
- 複雑さ:高度な技術スキルが必要なため、セットアップと設定がより複雑になります。
- コスト:ノード単位のライセンスであるため、小規模・中規模組織にとっては製品のコストが高額になる可能性があります。
価格
- 価格は最大250ノードで2,995ドルからです。料金はノード数と必要なサポート量によって異なる場合があります。
ManageEngine Patch Manager Plus
ManageEngine Patch Manager Plusは、Linux、macOS、Windows、およびサードパーティアプリにパッチを適用できるパッチ管理ソリューションです。脆弱性を検出して自動的に修正し、コンプライアンスに関するレポートを作成できます。
ManageEngine Patch Manager Plusはパッチ適用プロセスを自動化し、管理者がネットワーク接続されたシステム全体で変更を計画・展開できるようにします。Windows、Mac、Linuxの更新に加え、Adobe、Java、Chromeなどのサードパーティプログラムにもパッチを適用できます。また、展開前にパッチをテストすることも可能です。その後、パッチの適用状況、コンプライアンス、脆弱性情報に関する詳細なレポートを提供します。さらに、ネットワーク接続されたPCを保護するため、ウイルス対策やファイアウォールなどのエンドポイント保護ソリューションも提供します。
メリット
- 幅広いオペレーティングシステムとサードパーティアプリへのパッチ適用に対応しており、管理者の負担を軽減します。
- 直感的で使いやすいインターフェースを備えており、管理者はパッチ管理と展開を簡単に行えます。
- パッチの適用状況、コンプライアンス、脆弱性情報に関する詳細なレポートを提供します。
- ネットワーク接続されたコンピューターを保護するため、ManageEngine Patch Manager Plusはウイルス対策やファイアウォールなどのエンドポイント保護機能を提供します。
デメリット
- 複雑さ:ManageEngine Patch Manager Plusのセットアップと設定は難しい場合があり、高度な技術経験が必要です。
- コスト:ノード単位のライセンスであるため、特に小規模・中規模組織にとってはかなり高額になる可能性があります。
価格
- 価格は最大50ノードで345ドルからです。料金はノード数と必要なサポート量によって異なります。
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自動パッチ管理ソリューションの選び方
最終的には、自社と組織に最適な自動パッチ管理ツールを、ニーズと予算に基づいて選ぶことになります。ただし、検討・確認すべき点として、機能、対応するオペレーティングシステムとアプリケーション、ユーザーからの評価、業界やアナリストからの評価などが挙げられます。購入する製品を検討する際は、次の点を確認してください。
- 製品は完全に自動化されていますか、それともニーズを満たすのに十分な範囲で自動化されていますか?
- 現在使用している既存のシステムやソフトウェアと互換性がありますか?
- セキュリティ体制の改善や、ユーザー、データ、デジタル資産の保護に役立ちますか?
- パッチ適用要件を常に把握できるよう、自動レポートを作成できますか?
- オペレーティングシステムやサードパーティの修正プログラムを自動的にダウンロードしますか?
- エンドポイントに関する具体的な情報は最新の状態になっていますか?
- パッケージはあらかじめ作成され、すぐに利用できる状態になっていますか?
- ユーザーが作成した単純なポリシーに従って、パッケージを自動的に配布できますか?
- 自社の事業規模とニーズを考慮した場合、価格は妥当ですか?
結論:自動パッチ管理
パッチ管理は重要なサイバーセキュリティ対策であり、自動パッチ管理ソリューションは、組織のデータと資産を保護し、セキュリティ侵害のリスクを低減するとともに、時間、リソース、労力を節約するのに役立ちます。自動パッチ管理プログラムを導入すれば、ネットワーク上のすべてのデバイスに最新のパッチとセキュリティアップグレードが適用され、最新の状態になっていることを把握できるため、安心です。ただし、自動パッチ適用の効果を最大限に引き出すには、ベストプラクティスに従い、自社のニーズに最適なツールを見極めることが重要です。





