インターネット広告法の分野で20年以上にわたり活動してきた弁護士のMark Meckler氏が先ごろ、大手テクノロジー企業がユーザーのデータをどのように利用しているかについて見解を示した。
懸念は、プライバシーとサイバーセキュリティの両コミュニティで高まっている。それは、ほとんどの消費者が知らないうちに膨大な量のデータを提供し、それが最終的に人工知能(AI)システムや行動プロファイリング・プラットフォームを支えているというものだ。
Meckler氏によると、私たちが日常的に行うオンライン活動は、価値の高いトレーニングデータを生み出している。
検索クエリ、ソーシャルメディアでのやり取り、オンライン購入、ナビゲーションアプリ、ロイヤルティプログラム、コネクテッドデバイスはすべて、企業が収集・分析する行動記録を生み出している。
こうしたデータポイントは、レコメンデーションエンジン、予測分析システム、広告アルゴリズム、そして近年では生成AI技術のトレーニングに役立てられている。
私の見方では、これはデジタル経済で何年も前から見られてきた、より大きな変化の一環だ。
データは、もはや製品改善のためだけに収集されるものではない。
AI開発や自動化された意思決定、消費者プロファイリングを支える戦略的資産となっている。
重要ポイント
- 消費者は毎日、知らないうちにAIシステムをトレーニングしている。ウェブ検索、オンラインショッピング、ソーシャルメディアの利用、コネクテッドデバイスとのやり取りなどの活動が、AIモデルやレコメンデーションエンジン、行動プロファイリングシステムを支えるデータを生み出している。
- 現在の「通知と同意」モデルは、ほとんど機能していない。長大なプライバシーポリシーや、同意を必須とする利用規約によって、消費者はデータがどのように収集・利用されるのかを実質的に理解したり、管理したりすることが難しい場合が多い。
- 行動データは、個人情報の詳細よりも価値が高いことが多い。位置情報の履歴、閲覧習慣、アプリの利用状況、購入パターンをもとに、企業は広告やコンテンツのレコメンデーション、価格設定、自動化された意思決定に影響を与え得る詳細なプロファイルを構築している。
- データはデータブローカーのエコシステムに入ると、管理が難しくなる。情報は複数の組織間で集約、販売、共有、再統合されることが多く、消費者が自分のデータの所在を追跡したり、削除したりするのは難しい。
- 簡単なプライバシー対策でも、情報の露出を大幅に減らせる。アプリの権限を制限する、不要なトラッキング機能を無効にする、プライバシー設定を確認する、コネクテッドデバイスの数を減らすといった対策で、データ収集やプライバシーリスクを最小限に抑えられる。
通知と同意の限界
Meckler氏が最も強く批判している点の一つは、従来の「通知と同意」モデルにある。
テクノロジー企業は、広範なデータ収集を正当化するために、長大なプライバシーポリシーや利用規約を用いることが多い。
ユーザーは形式上これらの規約に同意しているものの、Meckler氏は、真に情報を得たうえでの同意が成立することはほとんどないと指摘している。
この懸念はもっともだと私は考える。
ほとんどのプライバシーポリシーは、一般の消費者が十分に評価するには長すぎ、複雑すぎる。
率直に言おう。映画を見る前にNetflixのプライバシーポリシーを最後に読んだのは、いつだろうか。
実際には、ユーザーは「広範なデータ収集を受け入れる」か「不可欠なサービスへのアクセスを失う」かという、二者択一を迫られることが多い。
その結果、消費者がプライバシー保護の負担を負う一方で、組織は個人情報を大きく管理し続けるという不均衡が生じる。
基本的な個人情報を超えて
多くの人は、企業が主に氏名、メールアドレス、決済情報を収集していると考えている。
しかしMeckler氏によると、行動情報やコンテキスト情報のほうが、より大きな価値を持つことが多い。
位置情報の履歴、閲覧行動、アプリの利用パターン、購入活動、視聴習慣、推測された属性などはすべて、詳細なプロファイルの作成に利用できる。
こうしたプロファイルは、広告、コンテンツのレコメンデーション、価格モデル、リスク評価、利用資格の判定に影響を与える可能性がある。
サイバーセキュリティの観点では、こうした情報の集約は潜在的なリスクをもたらす。
プロファイルが包括的になるほど、データが悪用されたり、侵害されたり、本来の目的を超えて転用されたりした場合の影響は大きくなり得る。
データブローカーのエコシステム
Meckler氏は、データがブローカー市場に入った後に何が起きるのかについても説明した。
ウェブサイト、アプリケーション、公的記録、商用データベースから収集された情報は、複数の組織間で集約、販売、ライセンス供与、再統合されることが多い。
これは、より高いプライバシーを求める消費者にとって課題となる。
データが数多くの事業体に複製されると、その所在や利用方法を追跡するのは困難になり、ほぼ不可能になる場合さえある。
組織が削除の選択肢を提供している場合でも、下流で作られたコピーや、その情報を使ってトレーニングされたAIモデルが残り続ける可能性がある。
コネクテッドデバイスと子どものプライバシー
特に懸念される例として、スマートテレビ、音声アシスタント、コネクテッド玩具などがある。
これらのテクノロジーは、家庭、寝室、家族が過ごす空間など、極めて個人的な環境の中で情報を収集できる。
Meckler氏は、子ども向けに販売されているデバイスに伴うリスクを強調した。
スマート玩具、教育アプリケーション、コネクテッドラーニング・プラットフォームは、音声でのやり取り、行動パターン、関心、発達に関する情報を取得する可能性がある。
時間が経つにつれ、こうしたデータポイントは、子どもが青年期や成人期を迎えても追跡し続ける長期的なプロファイルの形成に寄与し得る。
サイバーセキュリティに携わる者として、私は、こうしたデバイスがデフォルトで収集する情報量を、親が過小評価していることが多いと考える。
利便性は、データがどのように処理、保存、共有されているのかを把握しにくくするという代償を伴うことが多い。
消費者が取れる実践的な対策
こうした課題がある一方で、Meckler氏は、消費者が無力ではないことを強調した。簡単な対策で、不要な情報の露出を減らすことができる。
具体的には、使用していないマイクや位置情報の権限を無効にする、アプリ間トラッキングを制限する、プライバシーダッシュボードを確認する、可能な場合はパーソナライズド広告をオプトアウトする、家庭内のコネクテッドデバイスの数を減らすといった方法がある。
私はさらに、組織と消費者は可能な限りデータ最小化の原則を採用すべきだと考える。
デバイス、アプリケーション、アカウントは一つ増えるごとに、さらなるリスクをもたらす。
不要なデータ収集を減らすことは、依然として有効なプライバシー対策だ。
結論
Meckler氏の見解は、多くの消費者が十分に認識していない現実を浮き彫りにしている。現代のデジタルエコシステムに参加することは、多くの場合、AI開発や大規模なプロファイリングシステムを支えるデータを提供することを意味する。
将来的な規制によって、こうした懸念の一部がいずれ解消される可能性はある。しかし、意味のあるプライバシー保護は、認識を持つこと、情報に基づいて意思決定すること、そして自ら選んで利用するテクノロジーを主体的に管理することから始まる。

