Hims & Hersの患者はオンラインで診療を受けた際、症状や治療上の懸念以外にも、より多くの情報を共有していた可能性がある。
米連邦取引委員会(FTC)はHims & Hersを提訴し、同社が顧客に健康情報は機密として扱われると伝える一方で、広告主によるセンシティブな患者情報の収集・共有を可能にしていたと主張している。カリフォルニア州とユタ州の支援を受けて提出された申し立てでは、一部の顧客に医療提供者との診察前に料金を請求したり、継続課金のサブスクを解約しにくくしたりするなど、欺瞞的な請求・サブスク運用も行っていたとされている。
同社は反論し、何も悪いことはしていないと主張している。Hims & Hersは声明で、FTCの訴訟は同機関の調査中に同社が提出した証拠を無視していると述べ、自社の運用は適用法令や業界標準に準拠していると改めて主張した。また同社は、ユーザーは「データの利用方法を選択できる」と記したプライバシーポリシーを示している。
Hims & Hersとは何か、そしてなぜこの事件が重要なのか?
Hims & Hersはサンフランシスコを拠点とする遠隔医療企業で、オンラインで患者と認可を受けた医療提供者をつないでいる。デジタルでの初回登録、継続課金のサブスク、消費者への直接提供を軸とする同プラットフォームは、消費者が極めて個人的な医療情報を共有することを前提としている。
FTCの訴訟が特に重要なのは、まさにこの点だ。
この事件の中心にあるのは患者の信頼、つまり治療のために共有したセンシティブな健康情報は機密として扱われるという期待だ。委員会によると、Hims & Hersは追跡技術を使い、同社のウェブサイト全体でユーザーの行動を監視していた。委員会は同社がその情報を共有したと説明している。共有先にはMetaやSnap、その他の第三者ベンダーが含まれており、消費者にはそれとは異なる説明をしていたという。
こうした疑惑が事実と証明されれば、影響は同社にとどまらない可能性がある。遠隔医療プラットフォームが医療情報を扱う方法への信頼を失った患者は、オンラインで診療を受けたり、正確な診断や治療に不可欠な情報を開示したりすることをためらうかもしれない。
サブスク運用はこれまでも厳しい目を向けられてきた
委員会はまた、Hims & Hersがそうではないと説明していたにもかかわらず、一部のユーザーにはサービス提供前に自動的に料金を請求していたと主張している。委員会によれば、この運用には多数の苦情が寄せられている。
この点に加え、FTCは、Hims & Hersがユーザーをサブスクにとどめるためにプラットフォームの設計を利用し、いったん登録すると継続課金を解約するのを不必要に難しくしていたと主張している。具体的には、オンラインの解約ボタンを見つけやすい場所から隠し、顧客が継続課金のサブスクを解約しにくくしていたという。
継続課金からの離脱をユーザーに難しくする、いかがわしい手法を使ったとして問題視される企業は、Hims & Hersが初めてではない。
2025年、Amazonは25億ドルの支払いに合意した。Primeのサブスクを解約しにくくしていたことをめぐるものだ。最近では、FTCがShutterstockに対する訴訟で勝利を収めた。FTCによると、Shutterstockは自動更新されるサブスク、分かりにくい料金・更新条件、解約しにくい手続きを採用し、消費者が十分な情報に基づいて同意しないまま料金を負担する結果を招いていた。
遠隔医療を利用するすべての人にとって、この事件が意味すること
FTCが最終的に勝訴するかどうかにかかわらず、この訴訟はより広い現実を浮き彫りにしている。健康関連データは、人々がオンラインで生み出す情報の中でも最も価値の高いものの一つになっている。広告会社は高度にターゲットを絞ったマーケティングを行う手段とみなし、サイバー犯罪者は詐欺や個人情報窃取のもうけの大きい標的と捉え、規制当局は企業によるデータの収集、利用、共有の方法をこれまで以上に注視している。
ユーザーにとってこの事件は、プライバシー上の懸念が従来型のデータ侵害に限られないことを思い起こさせるものだ。医療プラットフォームがハッキングされていなくても、患者がまったく予想していなかった方法でセンシティブな情報が共有されていないかという疑問は生じ得る。より多くの医療サービスがオンラインに移行する中、消費者は個人の健康情報を共有する前に、プライバシーポリシー、同意設定、サブスクの利用条件をより注意深く確認したほうがよいかもしれない。
この訴訟の核心にあるのは、ほとんどの患者が共有する単純な期待だ。医療を受ける際に開示した情報は、自分が理解し、同意した目的に限って利用されるべきだという期待である。FTCがHims & Hersによるその期待への違反を立証できるかどうかは、今後法廷で判断されることになる。しかしその結果は、今後何年にもわたって遠隔医療企業による患者データの扱いに影響を及ぼす可能性がある。
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