欧州委員会は、欧州のデジタルの未来に13億ユーロ(14億ドル)という巨額の投資を行う。サイバーセキュリティー防御の強化、人工知能の推進、デジタルスキルの格差解消に重点を置く。
2025~2027年のデジタル・ヨーロッパ・プログラム(DIGITAL)の一環であるこの資金は、欧州のテクノロジー主権を強化し、重要インフラを増大するサイバー脅威から守る。
サイバーセキュリティーを大幅に強化
4500万ユーロという資金の大部分は、病院や電力網、海底インターネットケーブルを標的とするサイバー攻撃に対処するEUサイバーセキュリティー予備隊の創設に充てられる。これは、ロシアや北朝鮮のハッカーに関連する最近の攻撃など、欧州が高まるサイバー攻撃に直面する中での措置だ。
「EUサイバーセキュリティー予備隊などのサイバーセキュリティーソリューションは、病院や海底ケーブルを含む重要インフラのレジリエンスと安全性を高める」と欧州委員会は述べた。
もう1つの重要な取り組みが、サイバーレジリエンス法に基づく単一報告プラットフォームの開発だ。このプラットフォームにより、欧州のメーカーはサイバー上の脆弱性を安全に報告できるようになり、脅威が本格的な攻撃に発展する前に、政府や企業が迅速に対応できるようになる。
欧州のデジタルIDを強化
資金の一部は、欧州の人々がオンラインサービスに安全かつ信頼性の高い方法でアクセスできるようにする取り組み、EUデジタルIDウォレットの開発にも充てられる。このデジタルウォレットは、なりすまし詐欺に対抗し、個人データをより適切に管理できるようにし、ユーザーが機密情報をさらすことなく本人確認を行えるようにする。
サイバーセキュリティーが最優先課題である一方、DIGITALプログラムは次のような他のテクノロジー関連の取り組みにも資金を提供する。
- AI活用の拡大:企業や公共機関がAIをより効果的に導入できるよう、生成AIや仮想環境に投資する。
- 教育・労働力の訓練:欧州デジタルイノベーションハブ(EDIH)が企業や政府にAIの専門知識、研修、技術テストを提供できるよう支援する。
- 気候・災害管理:気候研究やリスク評価のために地球のデジタルツインを構築することを目指す「Destination Earth」イニシアチブを強化する。
テクノロジー主権:域外の事業者への依存を低減
この投資の大きな狙いは、欧州の外国テクノロジーへの依存を減らすことだ。
新型コロナウイルスのパンデミックとウクライナ戦争によって、欧州は域外のデジタルシステムへの依存を露呈し、テクノロジー主権への関心を改めて高めることになった。EUは、自らを守るために必要なスキル、インフラ、そしてセキュリティーツールを備え、大陸外の企業や政府に依存せずに済むようにしたい考えだ。
EUのテクノロジー主権・安全保障・民主主義担当の執行副委員長であるHenna Virkkunen氏は、この取り組みは欧州が世界的なテクノロジー競争で競争力を維持できるようにすることを目指していると強調した。
「欧州のテクノロジー主権を確保するには、先進テクノロジーへの投資と、人々がデジタル能力を高められる環境づくりから始まる。デジタル・ヨーロッパ・プログラムの機会を通じて、新しいテクノロジー、そしてそれに伴う新たな可能性が、欧州の市民、企業、公共行政に届くようにしている」と彼女は述べた。
資金申請の募集は4月に開始
このプログラムに基づく最初の資金募集は今月開始され、年間を通じて追加の資金提供の機会が設けられる見込みだ。EU、EFTA/EEA諸国、その他の関連国の企業、政府、研究機関は、EUの資金・入札ポータルを通じて申請できる。





