スマートテレビのトラッキングをオフにしても、トラッキング関連サーバーとの通信を止められない可能性がある。
Northeastern Universityの研究者は、10メーカーのスマートテレビ12台をテストし、ユーザーがオプトアウトした後も、一部の製品が自動コンテンツ認識(ACR)に関連するネットワーク通信を続けていたことを明らかにした。ACRは、テレビ画面で人々が何を見ているかを識別できる技術だ。
この調査結果は、スマートテレビのプライバシー設定がどの程度確実に機能するのかという疑問を投げかけている。ただし、通信の多くが暗号化されていたため、研究者はどのような情報が送信されたのか、また視聴履歴の収集が続いていたのかを確定できなかった。
テストで明らかになったこと
オプトアウトボタンは、スマートテレビによる視聴関連データの収集・送信を許可するかどうかをユーザーが管理できるようにするためのものだ。
しかし、5,943回の実験を行った結果、ユーザーがオプトアウトした後も、一部のテレビがトラッキングと一致するネットワーク通信を続けていた。これにより、これらのプライバシー管理機能が期待どおりに機能するのかという疑問が生じた。
今回の調査結果の中心にあるのは、自動コンテンツ認識(ACR)だ。これは、スマートテレビが画面で再生されているコンテンツを識別できるトラッキング技術である。
ACRはオペレーティングシステム(OS)レベルで実装できるため、テレビに組み込まれたストリーミングアプリ以外のコンテンツも認識できる可能性がある。つまり、トラッキングを無効にしても、ACRに関連するネットワーク活動を常に止められるとは限らない。
結果はプラットフォームによって異なった。研究者は、Samsung製テレビに関する複数のシナリオと、Vizio製デバイスでテストしたすべてのオプトアウトシナリオで、ACR関連のネットワーク活動が継続していることを確認した。Roku OSでは、オプトアウトの対象が同プラットフォームに組み込まれたストリーミングサービス「The Roku Channel」には及ばなかった。
これに対し、テストしたLG webOS、Sony Google TV、Amazon Fire TV、VIDAAの各システムでは、ユーザーがオプトアウトすると、確認されたACR関連通信が抑制された。
この調査結果から、ユーザーがオプトアウトした後もメーカーが視聴履歴の収集や利用を続けていたと断定することはできない。観測された通信の多くが暗号化されていたため、研究者はその内容を確認できず、送信されたデータがどのように扱われたのかも判断できなかった。
むしろ結果が浮き彫りにしたのは、テストした各プラットフォームでプライバシー管理機能の実装方法や、ACR関連のネットワーク活動への対処が異なっていたことだ。
テレビ視聴に伴う隠れたコスト
この差が重要なのは、消費者が購入するテレビのOSによってプライバシーが左右されるとは、普通は考えにくいからだ。
人々はテレビやストリーミングサービスのサブスクリプションに料金を支払っていても、自分の視聴習慣が、データプロファイリングや広告を通じて別の収益源になる可能性に気づいていないかもしれない。
視聴習慣からは、テレビに接続されたデバイスで再生したコンテンツなどを通じて、個人の関心や生活パターンが明らかになる可能性がある。こうした記録が他のデバイスやオンラインアカウントの情報と組み合わされると、より詳細な広告プロファイルの作成に利用されたり、ユーザーが意図して共有したわけではない情報まで明らかになったりする可能性がある。
より広い懸念は、ユーザーがオンラインのプライバシー管理機能をどこまで信頼できるのかという点だ。
トラッキングには、デバイスやサービスの異なる階層で動作する複数の技術が関わる可能性があるため、1つの方法をオプトアウトしても、他の方法まで対象になるとは限らない。その結果、消費者は自分のデータがどのように収集・統合されているのかをほとんど把握できないまま、プライバシーを守るための対策を講じたつもりになってしまう。
できること
まずはテレビのプライバシー設定を確認し、ACRや、利用可能な視聴データおよびパーソナライズド広告のオプションを無効にしよう。ただし今回の調査では、テストしたすべてのシステムでこれらの設定がACR関連通信を一貫して止めるわけではないことが分かっており、ユーザーは設定だけに頼れない。
新しいテレビの購入を検討しているなら、メーカーのプライバシーポリシーを確認し、自動コンテンツ認識、視聴データの収集、パーソナライズド広告を明確に管理できる機能を探そう。独立したプライバシー検証も参考になるが、あるモデルやソフトウェアバージョンで得られた結果が、ブランド全体に当てはまるとは限らない。
テレビのOSやソフトウェアを管理しているのはメーカーであり、そこには裏側でのデータ収集の仕組みも含まれる。そのためユーザーが、すべてのトラッキング機構がオフになっているかを確認する手段は限られている。
すでにコネクテッドテレビを所有している場合は、ルーターやネットワークレベルのフィルタリングツールを使って、既知のACR関連ドメインをブロックすることもできる。研究者が公開したエンドポイント一覧を出発点として活用するとよい。
テレビをインターネットから切断すれば、インターネット経由のトラッキングに対する保護は強化されるが、オンライン機能も利用できなくなる。外付けのストリーミングデバイスが別の選択肢になる可能性もあるが、それらにも検討すべき独自のプライバシー慣行がある。
スマートテレビの設定だけで完全なプライバシーを保証することはできない。トラッキング管理機能を見直し、インターネット接続を制限し、独立したプライバシー調査を確認することで、不要なデータ共有を減らすことはできる。しかし今回の調査は、より大きな問題を浮き彫りにしている。消費者は、自分が選んだプライバシー設定が意図どおりに機能しているかを把握できないことが多いのだ。
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