サイバー攻撃により、食品小売大手Ahold DelhaizeはITインフラの一部をオフラインにせざるを得なくなった。同社が業務の復旧に取り組む中、米国と欧州でデジタルサービスが混乱している。
Food Lion、Stop & Shop、Giant Food、Albert Heijnなどの食品小売ブランドを傘下に持つ同社は、10月12日にサイバーセキュリティー上のインシデントを初めて公表した。10月19日には、不審な活動が悪意ある行為によるものだったと確認したが、誰が関与したかは明らかにしなかった。
今回の混乱は、サイバー攻撃が企業の内部システムにとどまらず、実店舗が営業を続けている場合でも、オンラインショッピング、食料品の配送、従業員の業務を中断させる可能性を示している。
Ahold Delhaizeへの攻撃の経緯
Ahold Delhaizeは、10月12日に不審な活動を検知した後、一部のITシステムをオフラインにしたと説明した。これにより、複数の食品小売ブランドでウェブサイト、アプリ、オンラインショッピングサービスが混乱した。
米国と欧州の複数のブランドで、ウェブサイト、アプリ、オンラインショッピングサービスが混乱した。BleepingComputerによると、米国の一部の従業員は勤務シフトや給与情報へのアクセスに問題が生じたと報告し、オンライン注文も打撃を受けた。ただし、実店舗は営業を続けた。
CEOのFrans Muller氏は、同社のインフラを守るための予防措置としてシステムを停止したと説明し、顧客、従業員、取引先に不便をかけたことを謝罪した。
Ahold Delhaizeは10月19日、今回の活動が悪意あるものだったと確認し、警察に正式な被害届を提出したと発表した。同社はオランダ国家サイバーセキュリティーセンターにも通知している。
10月19日までに一部のサービスは復旧していたが、復旧作業は続いていた。Albert Heijnの宅配サービスは10月23日に再開する見込みだ。
同社は攻撃者を特定しておらず、最初の侵入経路も明らかにしていない。また、ランサムウェアが関与していたかどうかも確認していない。さらに、その時点では顧客、従業員、取引先の機密情報が盗まれた証拠はないと説明した。
BleepingComputerによると、Ahold Delhaizeが2年間で受けた大規模なサイバーインシデントは今回が2件目だ。2024年11月の別の攻撃により、220万人を超える人々の情報が流出した。
当局、フランスのスーパーへの攻撃との関連を否定
Ahold Delhaizeのインシデントは、フランスでスーパーマーケットの冷蔵設備を標的にした別のサイバー攻撃と時期が重なり、両者に関連があるのかという疑問を招いた。
この時期の重なりは、フランスで起きた別のサイバー攻撃に注目を集めた。そこではハッカーがインターネットに接続されたスーパーの冷蔵庫や冷凍庫を操作し、温度を上げて食品を損なわせ、火災を引き起こした。
Reutersは、2件のインシデントが同時期に発生したと報じ、両者に関連があるのかという疑問を呼んだ。
しかしオランダ当局は、Ahold Delhaizeのインシデントが他国で発生したサイバー攻撃と直接関連していると考える理由はないと述べた。
サービスの混乱も今やリスクの一部
Ahold Delhaizeのインシデントは、盗まれたデータや身代金要求に比べて注目されにくいサイバー攻撃の代償、つまり人々が依存するサービスにアクセスできなくなることを浮き彫りにしている。
データ窃取やランサムウェアの関与が確認されていないにもかかわらず、複数のブランドと国にまたがって、オンラインショッピング、食料品の配送、従業員向けサービスが影響を受けた。
今回のインシデントは、封じ込めと事業継続のバランスを取る難しさも示している。Ahold Delhaizeはインフラを守るためシステムをオフラインにしたが、その予防措置によって通常業務が中断された。データ窃取が確認されていなくても、顧客と従業員はその影響を受けた。
今回のインシデントと、いくつかの他の同様の事例は、サイバー攻撃の影響が直接関与したシステムの外部へ広がり得ることを示している。データストアへの影響が確認されず、被害の全容が不明な場合でも同様だ。
サイバー攻撃時の混乱を抑える方法
CIAトライアドの基本原則の1つが可用性であり、サイバー攻撃中もシステムやサービスにアクセスできる状態を維持する重要性を示している。
企業とセキュリティーチームにとっての課題は、不正アクセスを防ぐだけでなく、顧客や従業員が依存するサービスを中断するインシデントの影響を抑えることでもある。
そこで重要になるのが、迅速な検知、ネットワークセグメンテーション、冗長化、信頼性の高いバックアップである。
早期検知によって攻撃の拡大範囲を抑えられる一方、セグメンテーションによって影響を受けたシステムを隔離し、サービス全体をオフラインにせずに済む。冗長システムや検証済みのバックアップも、重要なインフラが利用できなくなった際の業務復旧に役立つ。
Ahold Delhaizeの対応は、封じ込めと継続性のバランスを取る難しさを浮き彫りにしている。
より広範な環境を守るためにシステムをオフラインにする必要が生じる場合もあるが、不可欠なサービスが利用できない時間が長引くほど、業務と顧客への影響は大きくなる。
したがって目標は、単に攻撃を封じ込めることではなく、混乱を最小限に抑えながら、重要なサービスを可能な限り迅速かつ安全に復旧することだ。
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