米国のサイバーセキュリティ求人は、AIに注力する一部の専門職への需要が高まるなか、1~9月の累計としては過去4年間で最低となった。
CyberSNの サイバーセキュリティ求人レポートによると、2026年1~9月の米国の求人掲載件数は235,786件で、2025年の同期間から26.4%減少した。この数値は重複を除いた求人広告の件数であり、実際の採用数ではない。
セキュリティ責任者にとっての課題は、日常的な防御を維持するために必要なエンジニアリング、分析、対応のスキルと、AIの専門知識とのバランスを取ることだ。今回のレポートは、AIの導入が採用減少を引き起こしたかどうかを明らかにしていない。
今回の比較の基準となる2025年は好調で、1~9月の求人掲載件数は2024年の同期間を約75,000件上回っていた。ただし、今回の累計は2024年の同期間も下回っているため、減少の原因が極めて好調だった年との比較だけにあるわけではない。
求人掲載件数の減少は、組織が必要な人員をすべて確保したことも意味しない。ISC2の2024年調査は、世界のサイバーセキュリティ人材不足を約480万人と推計したが、これは現在の求人件数を数えたものではないと明記している。必要な人員数と、予算が付いた空きポジションは別の指標だ。
AI関連のサイバー職種で需要が急増。
全体の件数が減少する一方で、サイバーセキュリティ市場には需要が大幅に増加した分野もある。AIセキュリティエンジニアとサイバーデータサイエンティストの求人掲載件数は、2026年1~9月に2025年の同期間と比べ、それぞれ200%超増加した。9月の求人掲載の20%にAIまたは機械学習という語が含まれていた。ただし1~9月全体では14.6%で、2025年の同期間の15.1%を下回った。
こうした専門職カテゴリーの伸びとは対照的に、セキュリティエンジニア、DevSecOpsの専門家、セキュリティアナリストの求人掲載件数は、2025年1~9月と比べて20%超減少した。
採用担当者にとっての実務的な教訓は、コアとなるセキュリティ業務を見落とさずに、チームに必要なAIスキルを明確にすることだ。AIが生成した検出結果の評価、アラートの調査、セキュリティ制御の維持にはそれぞれ異なる能力が必要であり、AIの専門知識を加えることで、こうした業務の責任の所在が不明確になってはならない。
ベンダー各社は、AIを活用したセキュリティ業務向けツールを拡充しており、 AnthropicのMythosセキュリティ監査サービスもその一つだ。OpenAIは、 GPT-5.4-Cyberモデルについて、コンパイル済みソフトウェアを分析して脆弱性やマルウェアを検出するなど、防御業務のワークフローを支援すると説明している。こうした機能だけで、組織がセキュリティ職を置き換えられることや、攻撃を防止できることが示されるわけではない。
人による監督に必要なこと。
AIツールを評価するセキュリティチームは、推奨事項を生成することと、実際に行動を起こすことを区別すべきだ。アラートを要約することと、アカウントを無効化したり、アクセス権限を変更したり、パッチを適用したりすることでは、結果への影響が異なる。
この区別をもとに、 AIエージェントが実際に実行できる操作への制御を設計すべきだ。チームは権限を制限し、人の承認が必要な操作を特定するとともに、アナリストが変更を再現し、予期しない挙動を調査できるログを保持しなければならない。
人員計画では、こうしたツールが生み出す業務も考慮すべきだ。検出結果の検証、連携の維持、障害の調査、インシデント対応の責任を担う人が必要になる。有用な評価では、削減できた時間だけでなく、見逃した脅威や誤った検出結果も測定すべきだ。
人員規模を変更する前に、セキュリティ責任者は、ツールが定義したワークフローを改善するかどうか、またチームがツールの誤りを検出して復旧できるかどうかを確認すべきだ。人による監督を機能させるには、担当する責任と、実行可能な制御を割り当てる必要がある。
続きを読む:セキュリティ運用全体にAIを拡大する前に検討したいのは 効果的な脅威インテリジェンスは既存の可視性、検知範囲、対応プロセスから始まる理由。





