AIエージェントはすでに、サイバーセキュリティ専門家が日々実際に行う業務を変えつつある。
組織がAIエージェントの利用を拡大するなか、従業員がそれらを管理するスキルを身につけていることも確実にする必要がある。
この問題の核心にあるのが、AI Workforce ConsortiumのAIエージェントとサイバーセキュリティへの影響レポートだ。
Ciscoなどのテクノロジー企業が設立したこのコンソーシアムは、AIスキルを求めるサイバーセキュリティ求人がG7各国で前年比2倍になったことを明らかにした。
同時に、組織は依然としてサイバーセキュリティ人材の確保に苦戦している。世界では480万件を超えるサイバーセキュリティ職が未充足のまま。
G7各国でのサイバーセキュリティ職への需要も2026年3月までの6カ月間に9.5%増加した。
私は、AIがサイバーセキュリティの仕事を完全に置き換えるとは考えたことがない。クラウドへの移行と同じように、AIはワークフローとセキュリティ専門家に必要な実践的スキルを変えているだけだ。
SOCアナリストはAIエージェントの管理者になりつつある
セキュリティオペレーションセンター(SOC)はその好例だ。AIエージェントは現在、チケットの管理や初期トリアージを行える。これらは以前、アナリストの時間を消費していた業務だ。
CiscoでAIセキュリティ担当の特別技術者を務めるOmar Santos氏は、エントリーレベルの職種が最も大きな変化を経験する可能性があると述べた。
「ティア1 SOCアナリストの職は、最も速く再編されている役割の一つだ」と、Santos氏はeSecurityPlanetに語った。同氏によると、アナリストはエージェント型システムの監督とオーケストレーションを担うことが増えている。
Ciscoではすでに社内でこの移行が進んでいる。Santos氏によると、以前は自らセキュリティテストを実施していた約80人のサイバーセキュリティ専門家からなるチームが、現在は脆弱性を発見し、攻撃者が与え得る影響を実証するAIエージェントを運用している。
人間の判断力がより重要に
AIエージェントにより多くの責任を担わせることは、人をプロセスから排除するわけではない。場合によっては、経験豊富な人間による監督がいっそう重要になる。
Ciscoの最高学習責任者Marci Paino氏は、AIが生成した結果を検証し、その背後にあるリスクを評価する役割は依然として人間が担う必要があると述べた。
「AIの出力は信頼できない場合もあり、時には予想もしない形で問題が起きる」と、Paino氏はeSecurityPlanetに語った。「その予測不能性こそが、人間の判断力が不可欠な理由だ」
コンソーシアムの調査では、サイバーセキュリティ職で倫理的推論を求める求人が前年比533%増加した。システム思考は251%、ステークホルダーとの関係構築は125%増加した。
この業界で20年以上働いてきた私は、採用担当者やリクルーターが資格や技術スキルを重視するのを見てきた。そうしたスキルは依然として重要だが、AIがより多くの業務を担うようになるにつれ、その出力をいつ疑うべきかを知ることも同じくらい重要になる可能性がある。
組織は、こうしたシステムを管理する人材への投資も必要になる。
Ciscoの調査では、サイバーセキュリティ責任者の36%がAIを活用した防御を優先している一方、テクノロジースタックを管理できるよう人材に投資しているのはわずか25%だった。
エントリーレベルのサイバーセキュリティ職が抱える経験不足
AIエージェントによって、エントリーレベルのサイバーセキュリティ専門家に必要なスキルセットは変化しているが、基礎が不要になるわけではない。
新たなセキュリティ専門家には、ネットワークやLinuxなどの中核分野での実践経験が依然として必要だ。また、業務が実際にどのように行われるかを理解するため、セキュリティツール(例:SIEM)の使用経験も必要になる。
そうした経験があれば、AIエージェントの作業を確認し、疑わしい結果を見抜き、いつ追加調査を行うべきかを判断するための文脈を得られる。
Ciscoのレポートでは、2026年3月までの6カ月間に、シニア職と記載されたサイバーセキュリティ求人が65%増加した一方、ジュニア職と記載された求人の伸びはわずか5.9%だった。
Paino氏は、キャリア初期の専門家には、AIエージェントについて理論的に学ぶだけでなく、実際に扱う機会がもっと必要だと述べた。サイバー演習環境や仮想ラボは、そうした実践経験を安全に積める場になる。
雇用主は、キャリア初期の専門家が初めてフルタイムのサイバーセキュリティ職に就く前に、学んだことを応用する機会を与えることで、このギャップの解消を後押しできる。Paino氏は、経験を積む方法としてインターンシップと見習い制度を挙げた。
AIによって基礎の重要性が低下しているわけではない。
基礎があるからこそ、新たなセキュリティ専門家はAIを効果的に使い、AIが誤った結果を出したときにそれを認識するための知識を得られる。





