主なポイント
- 従来型のエンドポイント管理と手作業によるパッチ適用では、今日の企業の脅威環境と拡大するエンドポイントエコシステムに、もはや対応しきれない。
- AIを活用した自動化により、エンドポイントの検出、優先順位付け、修復、保護を継続的に実行しながら、ITチームの運用負担を軽減できる。
- 自律型エンドポイント管理(AEM)は、エンドポイントの可視性、コンプライアンス、脆弱性の修復、デジタル従業員体験を統合し、セキュリティ体制を強化する。
- 日常的なエンドポイント運用を自動化することで、ITチームは手作業によるパッチ適用に費やしていた時間を取り戻し、プロアクティブなリスク低減、ベンダー統合、エンドポイント性能の向上といった、よりインパクトの大きい業務に注力できる。
企業のエンドポイント管理に新たなアプローチが必要な理由
従来型のエンドポイント管理モデルは、今日の企業環境の重圧に耐えられなくなっている。AIによって加速する脆弱性の発見、拡大するエンドポイントエコシステム、短縮する修復期間によって、今日の規模での運用を想定していなかった手作業中心のプロセスの限界が露呈している。
デバイスの増加、AIによって加速する脆弱性の発見、そして攻撃対象領域の拡大により、従来の管理モデルの限界が明らかになっている。効果的なパッチ管理は依然として基盤となるが、修復期間が短縮し続ける中、組織には、手作業を最小限に抑えながらエンドポイントを管理・保護するインテリジェントな運用モデルがますます必要になっている。
こうした変化を受け、人工知能、自動化、統合されたエンドポイント可視性を組み合わせて企業環境をプロアクティブに管理する、自律型エンドポイント管理(AEM)へと進化が進んでいる。日常的な運用を自動化し、リスクを継続的に低減できる自律型エンドポイント管理は、CISOやCIOに向けた新たな運用モデルを示す。手作業を減らし、リスクのギャップをより迅速に解消し、オーバーヘッドを増やすことなく運用を拡張できる。
従来型のエンドポイント管理では拡張できなくなった理由
企業環境はここ数年で大幅に複雑化している。
組織は、分散したワークフォース全体にわたるノートPC、デスクトップ、モバイルデバイス、サーバー、仮想マシン、クラウドワークロード、さらに増え続ける未管理資産やシャドーIT資産を管理しなければならない。
その一方で、ITチームには、セキュリティの強化、コストの管理、デジタルトランスフォーメーションの支援を同時に求められており、運用に大きな負荷がかかっている。
2026 Ivantiの調査では、ITプロフェッショナルの62%が日々の運用に圧倒されていると回答した。持続不可能な手作業中心のエンドポイントワークフローが招くもう1つの大きなコストは、人材の流出だ。ITプロフェッショナルのほぼ4人に1人が、燃え尽き症候群を理由に同僚が組織を去るのを目にしている。
同時に、ITワークフローで自動化を十分に活用していると回答した組織はわずか32%にとどまる。多くの企業が、貴重な技術リソースを消費する手作業に依然として大きく依存していることがうかがえる。
パッチ管理は、この課題を端的に示している。
従来のワークフローでは、脆弱性の発見、チケットの作成、承認、展開、検証、報告など、互いに分断された複数の手順が必要になることが多い。これらが積み重なることで遅延が生じるが、エクスプロイト可能な期間が短縮する中、その遅延を正当化するのはますます難しくなっている。
AIを活用した脆弱性発見の最近の急増は、この問題をさらに浮き彫りにしている。
研究者やソフトウェアベンダーが脆弱性をより迅速に特定するようになる中、組織は、従来の運用モデルが想定していたよりも速く、露出を修復しなければならない。
組織がアップデートの展開を数週間待っても安全だという従来の前提は、多くの企業環境で維持することがますます難しくなっている。
パッチ管理の先を見据える
パッチ管理は依然としてサイバーセキュリティの基盤となる実践だが、効果的なエンドポイント管理を構成する要素の1つにすぎない。
セキュリティ責任者の多くは、自組織の環境について、次の5つの問いに自信を持って答えられない。この可視性のギャップこそ、攻撃者が当てにしているものだ。
これらの問いに答えるには、パッチの展開だけでは不十分だ。組織には、継続的な可視性とインテリジェントな自動化を組み合わせ、セキュリティとコンプライアンスを向上させるアプローチが必要になる。
統制されたエンドポイントデータを基盤として、自律型エンドポイント管理は、エンドポイント管理、セキュリティ運用、デジタル従業員体験の各領域で、ITがより迅速に行動できるよう支援する。
エンドポイント全体から収集したデータを継続的に分析し、脆弱性、コンプライアンスのギャップ、性能の問題、新たなリスクを特定する。その後、AIを活用した自動化によって、ビジネスコンテキストに基づきアクションの優先順位を付け、承認済みのワークフローを最小限の手作業で実行できる。
AIがエンドポイント運用をリアクティブからプロアクティブへ変える
自律型エンドポイント管理は、問題に対処する運用から問題を未然に防ぐ運用へと組織を移行させ、ITチームとセキュリティチームがエンドポイントセキュリティをより広範に管理できるようにする。AIが問題をプロアクティブに特定し、ユーザーに影響が及ぶ前に修復を自動化することで、エンドポイント管理はリアクティブな保守からプロアクティブな運用へと変わる。
Ivantiの「2026 Autonomous Endpoint Management Report」によると、ITプロフェッショナルの67%は、AIと自動化によって有意義な業務により多くの時間を使えるようになると考えており、66%は、これらのテクノロジーによってエンドユーザーへのサービス提供が改善すると考えている。
自動化はITプロフェッショナルを完全に置き換えるのではなく、経験豊富なチームが反復的な保守に費やす時間を減らし、モダナイゼーションやサイバーレジリエンス、戦略的なリスク低減など、ビジネスにインパクトをもたらす取り組みにより多くの時間を割けるようにする。
おそらく同じくらい重要なのは、AIを活用した自己修復機能により、問題の存在をユーザーが認識する前に多くのエンドポイントの問題を解決し、従業員のデジタル上の摩擦を軽減できることだ。
その結果、デジタル従業員体験が向上し、生産性が高まるとともに、サービスデスクへの問い合わせも減少する。
自律型エンドポイント管理のメリット
従来型のエンドポイント管理 | 自律型エンドポイント管理 |
| リアクティブなワークフロー | 継続的かつプロアクティブな管理 |
| 手作業によるパッチ展開 | AIを活用した自動化 |
| 定期的なコンプライアンスチェック | 継続的なコンプライアンス検証 |
| 分断されたセキュリティツールとITツール | 統合されたエンドポイント管理とセキュリティ |
| 大きな管理負担 | 運用負担の軽減 |
| 限られたエンドポイント可視性 | 継続的なエンドポイント可視性 |
可視性と継続的なコンプライアンスが戦略的優位性になる
企業のセキュリティは、コンプライアンスを維持するために環境全体の包括的なエンドポイント可視性に依存しているが、それを維持できずに苦労する組織は多い。
Ivantiの調査では、エンドポイント管理ソリューションを利用している組織はわずか52%にとどまった。また、多くのITチームが、シャドーITの特定、脆弱性の発見、企業ネットワークにアクセスしているデバイスの把握において、大きな盲点を抱えていると報告している。
こうした可視性のギャップにより、サイバーハイジーンの維持や新たな脅威への対応はさらに難しくなる。
自律型エンドポイント管理は、管理対象と未管理の資産を継続的に検出し、エンドポイントの健全性を監視し、コンプライアンスをリアルタイムで検証することで、こうした課題に対処する。組織は、定期監査や手作業による報告に依存する代わりに、エンドポイント環境のセキュリティ体制を継続的に把握できる。
継続的なコンプライアンスによって、監査準備も簡素化される。監査直前に証跡を集めるのではなく、セキュリティポリシーを継続的に検証し、設定ドリフトを特定し、逸脱が発生した時点で自動的に修復できる。このアプローチは管理負担を軽減しながら、年間を通じてより強固なセキュリティ体制の維持を支援する。
インテリジェントな自動化でITとセキュリティをつなぐ
効果的なエンドポイント管理を阻む最大の障壁の1つは、組織の分断だ。
エンドポイント管理、IT運用、セキュリティは、別々のツールやワークフローに依存していることが多い。Ivantiの「2025 Technology at Work Report」によると、ITチームの62%が、サイロ化されたデータによってセキュリティ対応が遅くなっていると回答し、40%がデータサイロによってITの効率が低下していると回答した。
自律型エンドポイント管理は、共有された可視性とAIを活用した自動化によってこれらの機能を統合し、チームがより効率的にリスクの優先順位付けと修復を行えるようにする。
この統合アプローチは、脆弱性への対応において有用だ。
インテリジェントな自動化は、ビジネスコンテキストを用いてリスクに基づき露出の優先順位を付け、展開から検証までの修復プロセスを自動化する。自動ロールバック機能によって、アップデートが予期せぬ問題を引き起こした場合にも迅速に復旧できるため、運用リスクをさらに低減できる。
企業環境の複雑化が続く中、セキュリティと事業継続性を維持しながら対応時間を短縮するには、統合された運用がますます重要になる。
セキュリティを強化しながら従業員体験を向上させる
エンドポイント管理は主にセキュリティの分野と見なされがちだが、その影響ははるかに広い。アプリケーションの遅延、デバイスのクラッシュ、未解決のエンドポイント問題は、すべて従業員の生産性に影響する。業務が中断されると、ヘルプデスクへの問い合わせが増え、従業員は待たされる。
こうした中断を減らすことは、IT責任者とセキュリティ責任者の双方にとって重要な目標だ。従業員が気付く前に問題をプロアクティブに特定して解決することで、自律型エンドポイント管理はデジタル上の摩擦を軽減し、全体的なユーザー満足度を高める。
AIを活用した自己修復機能は、ヘルプデスクの介入を必要とせず、多くの一般的なエンドポイント問題を自動的に解決する。
その結果、セキュリティの向上と従業員体験が、もはやリソースを奪い合うことはなくなる。同じインテリジェントな自動化機能によって、リスクとコストの両方を削減できる。
エンドポイント管理の未来は自律型
企業環境が拡大し続ける中、従来のエンドポイント管理アプローチを維持することは必然的に難しくなる。
エンドポイントの多様化、AIによって加速する脆弱性の発見、進化するコンプライアンス要件には、よりインテリジェントな運用モデルが求められる。自律型エンドポイント管理は、組織が必要とする運用モデルを提供する。
エンドポイント管理、企業セキュリティ、デジタル従業員体験を、AIを活用した自動化、予測分析、プロアクティブな保護と組み合わせることで、組織はリアクティブな保守を超え、継続的な最適化へと移行できる。
日常的な運用タスクを自動的に実行できるため、ITプロフェッショナルは、レジリエンスを強化しイノベーションを加速させる、より価値の高い取り組みに注力できる。
Ivantiの自律型エンドポイント管理(AEM)アプローチは、企業のエンドポイント運用が向かう方向を示している。エンドポイント管理、セキュリティ、デジタル従業員体験を結び付け、運用の複雑さを軽減する。
企業のITリーダーにとって、自律型エンドポイント管理は、今日の企業の脅威環境に対応し続けるために不可欠になりつつある。
よくある質問
自律型エンドポイント管理(AEM)とは?
自律型エンドポイント管理は、エンドポイント管理、企業セキュリティ、デジタル従業員体験を組み合わせたAI主導のアプローチであり、日常的なIT運用の自動化、問題のプロアクティブな修復、コンプライアンスの継続的な適用、企業環境全体におけるエンドポイント可視性の向上を実現する。
自律型エンドポイント管理は従来のパッチ管理とどう違うのか?
パッチ管理は、主に脆弱性に対処するためのソフトウェアアップデートの展開に焦点を当てる。自律型エンドポイント管理はパッチ適用の範囲を超え、AIを活用した自動化によって、資産の継続的な検出、リスクの優先順位付け、修復の自動化、コンプライアンスの監視、エンドポイント性能の最適化、従業員体験の向上を実現する。
企業が自律型エンドポイント管理を導入する理由は?
大企業は、分散した環境全体で数千台のデバイスを管理している。脆弱性の数、エンドポイントの多様性、コンプライアンス要件が増大する中、手作業のプロセスを拡張するのは難しい。自律型エンドポイント管理は、セキュリティ、可視性、効率を向上させながら、運用負荷の軽減を支援する。
AIはエンドポイント管理をどのように改善するのか?
AIはエンドポイントデータを分析してパターンを特定し、ユーザーに影響が及ぶ前に問題を予測し、リスクに基づいて脆弱性の優先順位を付け、日常的な修復タスクを自動化する。これによりITチームは、反復的な保守に費やす時間を減らしながら、より迅速に対応できる。
自律型エンドポイント管理によって、組織はどのようなビジネスメリットを期待できるか?
組織は、セキュリティ体制の強化、運用コストの削減、コンプライアンスの強化、エンドポイント可視性の向上、ダウンタイムの最小化、従業員の生産性向上を実現できる。また、ITチームが日常的な運用業務ではなく、戦略的な取り組みに注力できるようになる。
エンタープライズセキュリティにとってエンドポイント可視性が重要な理由は?
見えていない資産を効果的に保護することはできない。包括的なエンドポイント可視性によって、ITチームとセキュリティチームは、未管理デバイスの特定、脆弱性の発見、コンプライアンスの検証、プロアクティブな対応を実行できる。





